カスタムカーの祭典「東京オートサロン」が、東南アジア最大規模を目指してマレーシア・クアラルンプールに初進出。6月9日から3日間、マレーシア国際貿易展示場(MITEC)で開催され、9万超の人出で賑わった。会場は、地元マレーシアを中心とした熱狂的なカスタムカーファンの熱気に包まれ、連日夜の10時まで盛り上がりを見せた。

熱狂的なファンが押し寄せる!

──熱狂的。
初開催となった東京オートサロン・クアラルンプール2023の模様をひとことで表すなら、この言葉以外、見つからない。イベント開始前から、会場入口の周りには、チケットを求める長蛇の列ができ、夜7時ごろまで(閉場時間は夜10時!)並ぶ列はほぼ途切れることがなかった。来場者のイベントに対する期待が会場外から伝わってくる。結果的に、9万1000人の人が来場した。

チケットを求める熱狂的なファンの長蛇の列。夜までこの状態が続いた。
チケット購入まで長時間待たされていたがトラブルなどは一切起こらなかった。

マレーシア国際貿易展示場(MITEC)のホール2〜4を使った会場は、東京オートサロンが開催される幕張メッセで例えると、約2.5ホール分の広さだ。そこにスポーツカー、セダン、ミニバン&ワゴン、SUV、コンパクトカーといった各ジャンルのカスタムカーが多数ディスプレイされる。ホールの中心には、現地法人の日産、三菱といったOEMをはじめ、地元のカスタムメーカーやショップがブースを展示。規模感は東京オートサロンのそれと比較するにはまだまだだが、スマホを片手に熱心に動画や写真撮影を講じており、来場者のボルテージはまさに本家オートサロン以上に感じた。

会場内の混雑ぶりは本家、東京オートサロンと同じだった。
来場者は熱心に車両を撮影していたのが印象的だった。

日本へのリスペクトをとても強く感じた

特徴的だったのは、日本のカスタムカー文化へのリスペクトである。展示車両を見ると、日本製パーツが流行しているようで、日産、ホンダ、トヨタといった日本車をベースに、なじみのあるエアロキットを装着したカスタムカーが多く展示されていた。オーバーフェンダー仕様がひとつのトレンドのようだが、どのクルマも日本のカスタムカーをよく研究して作り上げたであろうことが伺えるキレイな仕上がりに驚く。日本の東京オートサロン展示車両にヒケを取らないレベルだった。外装のカスタムだけでなく、S14シルビアにトヨタの2JZを、GT-RにセンチュリーのV12エンジンをスワップするチューニングカーも展示されていた。

GT-RにV12エンジンをスワップした車両。
シルビア(S14)にトヨタ2JZエンジンをスワップ。
会場外に並ぶカスタムカー。日本車ベースのものが多かった。
日本のカスタムカーカルチャーを受け継いでいるのがよくわかる。
ボンネット裏までしっかりカスタムされている。
スケルトンのフロントリップスポイラー。日本ではあまり見られない発想だ。
最近、マレーシアでは4×4ビークルが流行りつつあるそうだ。

また、会場の左右には、日本パビリオンエリアが設置され、日本から招待したHKSやトラスト、トップシークレット、クールレーシングなどといった14台のコンプリートカーが展示された。コンプリートカーの周りには、何重もの人垣ができて注目を集めており、現地まで足を運んでいただいたチューナーには、サインを求める地元ファンの行列ができるほどの人気ぶりだった。

大人気だったのが日本から出展したカスタムカーたち。チューナーへサインを求める長蛇の列が絶えなかった。

本人も驚くスモーキー永田人気!

人気と言えば、トップシークレット代表の永田さんこと、“スモーキー永田”人気が超絶だった。ひとたび会場を練り歩けば、“お、スモーキー!”と歓声が上がり、老若男女、スマホで撮影しながら追っかけファンがついて回る。警備をつけないと動きが取れないレベルで、その光景はアイドルの追っかけをしているファンそのものだ。この現象にご本人自身も「普通のオジさん(ご本人談)なのに、なぜ!?」と苦笑いするほど。来場者に理由を聞くと、雑誌オプションやSNSなどの動画を通して、日本で速いクルマを作る人として有名らしい。会場には、ゲストとして、王室やマレーシアの歌姫も来場され、それはそれでかなりの注目を集めていたが、“スモーキー永田”人気はそれらをはるかに凌ぐ人気ぶりだった。

スモーキー永田さんをファンが取り囲む
マレーシアの王子が所有するGT-Rの前で記念撮影するスモーキー永田。
GT-Rのボンネットが開けられるとものすごい歓声が起こった。

現状では、カスタムカーの作り方やチューニングアプローチは、日本のカスタムカー文化がまだ基盤となっている部分が強いが、「東京オートサロン・クアラルンプール」が風物詩のイベントとしてファンに定着していくにつれて、今後、マレーシアのカスタムカー文化が発展していくだろう。今回、現場で出展者や来場者の熱量を感じた限り、「初開催」ということを差し引いても、その可能性は高いと感じた。来年の第2回目の開催を期待したい。