10月2日(金)〜4日(日)の3日間、マレーシアで『TOKYO AUTO SALON MALAYSIA 2026(東京オートサロン・マレーシア2026)』が開催された。

今回から会場となったMAEPS(Malaysia Agro Exposition Park Serdang)は、クアラルンプール中心部と空港の中間付近に位置する複合施設。昨年までの会場だったMITECよりも施設自体は古いものの、149ヘクタール(ハウステンボスとほぼ同規模)の敷地に4つのホール(A〜D)や乗馬施設、庭園などを備え、農業について学び体験できる施設となっている。郊外だが高速道路でアクセスしやすく、広い駐車場も備えているため、クルマでも訪れやすい環境が整っているという。

今回は、そんな施設内のAホール(約1万㎡)とCホール(約4000㎡)に加え、屋外エリアや駐車場も活用。前回までより規模を拡大しての開催となった。

Aホールには液晶モニターや照明を効果的に配したブースが並び、2階建てのブースも登場するなど、会場全体がますます洗練された印象だ。また、主催者の「マレーシアのビルダーやチューナー、ワークショップなど、現地のカーカルチャーを支えるクリエイターにもスポットを当てる」という意向もあって、現地のプロショップによる出展や、実車用のオリジナルパーツ、関連部品の展示・販売も昨年より増えていたように感じられた。

一方、Cホールには現地のオーナーたちが手塩にかけて仕上げた愛車約100台が集結。メインステージではDJタイムやラッキードローが行われたほか、日本から東京オートサロン2027のイメージガール『A-class』も参加し、ステージライブなどで会場を華やかに盛り上げた。

日本ブランドの認知度が向上! 現地ユーザーならではの商品選びにも注目

日本のチューニングブランドも着実に存在感を高めている。HKS、TRUST、東名パワードなどは、出展を重ねるごとに現地での認知度が向上していると手応えを感じているそうだ。

HKSの水口代表は、マレーシアでのブランド展開について次のように語る。
「タイやアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどでの活動に続いて、マレーシアでもここ数年、イベントへの出展を通じてブランドをPRしてきました。その効果が少しずつ現れてきていると感じます。また、特にアジアでは写真撮影やサイン会への人気が高いので、最近はそうした機会も設けるようにしています」

TRUSTの飯岡代表も、来場者の変化を実感しているという。
「過去のイベントに参加してくださったお客様から『今回も来たよ』と声をかけていただくなど、認知度は確実に高まっていると感じます。一方で、何度も足を運んでくださるお客様のためにも、商品ラインアップを新しくしたり、現地のニーズに合わせたアイテムを持ち込んだりできるよう、考えていきたいですね」

各出展社から共通して聞かれたのが、ホンダ・シビックタイプR(FL5)用パーツの需要の高さだ。

東名パワードの里井代表は「シビック用のパーツは人気があって、シフトノブはすぐに売り切れちゃいましたね」と話す。また、ホイールナットを持ち込んだALESSの上山代表も「P1.5(ホンダやトヨタなど)は売り切れましたが、P1.25(日産やスバルなど)はそれほどでもなく、需要に偏りがありますね」と、現地ならではの傾向を教えてくれた。

今年初出展となったHPIの人見代表も、手応えを感じている。
「初参加ですが、たくさんのお客様がブースに来てくれてうれしいです。マレーシアではセパンサーキットを走っているという方もいて、持ち込んだレーシングギアの売れ行きも好調です」

また、リバティーウォーク、RE雨宮、Veilside、VERTEX(T&E)、KUHL、ALESSなど、継続して出展してきたブランドの存在感も着実に高まっている。リバティーウォークは、東南アジア初の旗艦店となる『Liberty Walk Malaysia』を今年オープン。RE雨宮やKUHLも現地代理店との契約を結んでおり、リザルトジャパンは現地の『JCガレージ』がマレーシア国内で製作した車両『NEO86』の展示を実現した。

商品選びには、マレーシアのユーザーならではのこだわりも見られるという。

例えば、ステアリングは人気アイテムのひとつだが、ディープコーンタイプはレバー操作がしにくくなることから敬遠される傾向がある。また、Tシャツなどのアパレルも、デザインだけでなく素材や質感をじっくり吟味して購入する人が多いそうだ。

さらに、日本の自動車関連書籍などにも需要がある。三栄が持ち込んだ雑誌の売れ行きは好調で、手のひらサイズの「マメ本」も人気を集めており、ほかの国でも展開できる可能性がありそうだという。

三栄の販売部によると、マレーシアは来場者の多くが英語でコミュニケーションを取れることも特徴のひとつだという。言葉の壁が比較的小さいことは、日本ブランドが現地ユーザーとの関係を深めるうえでも大きな強みとなっているようだ。

トミカの新シリーズや新プロジェクトも登場!

会場では、日本の自動車関連ブランドによる新たな取り組みも注目を集めた。

トミカは『トミカ カスタムワークス』シリーズから、SPOON SPORTS仕様のホンダ・シビックタイプRのミニカーを販売。チューニングパーツブランドとの正式なコラボレーションは今回が初めてとのことで、今後のラインアップ拡充にも期待が高まる。

また、マレーシアでトヨタやレクサスなどのディーラーを展開するWing Hinグループは、新プロジェクト『T’SELECTION』をお披露目。タイ・バンコクを拠点とするTCD ASIAの石澤寛社長も登壇し、TCD ASIAが技術監修・商品監修を担うことを発表。Wing Hin Motorsportsがグローバルディストリビューターを務めることや、マレーシア国内で10社が正規販売を行うことなども明らかにされた。
メーカー保証期間が終了した車両などを主なターゲットに、日本基準の品質で製造されたエンジンオイルなどの油脂類やフィルターといった消耗品を中心に展開し、今後も製品ラインアップを拡充していく方針だという。

こういった大きなニュースが発表される場としても、マレーシアの“オートサロン”が活用されているというわけだ。
また、今年は映画『DRIFTER』のPRをかねて俳優のSung Kang氏が来場したことも、大きなトピックスと言えるだろう。

屋外ではドリフトデモラン&同乗走行も!

今回の会場変更に伴う大きな見どころが、屋外エリアの充実だ。

駐車場エリアを利用したドリフトコースでは、複数台によるデモランや同乗走行を実施。コース全体を見渡しやすいレイアウトも特徴で、観客はマシンの迫力ある走りやサウンドを存分に楽しんでいた。

また、屋外では2時間ごとの入れ替え制でカークラブによるミーティングも開催され、トヨタ86やスバルBRZ、マツダ・ロードスターなど、さまざまなジャンルのクルマが集結。展示ホールの中だけでは味わえない、現地のオーナー同士の交流やカーカルチャーの熱気もイベントを盛り上げていた。

そして、イベントのフィナーレを飾ったのが、展示されていたユーザーカーによるパレードラン。多くの観客に見送られながら、それぞれの愛車がエンジン音やマフラーサウンドを響かせて会場を走り抜ける光景は、クルマ好きにはたまらない締めくくりとなった。

マレーシア発のカーカルチャーが創る未来とは

今回の東京オートサロン・マレーシア2026では、会場の拡大や屋外コンテンツの充実に加え、新製品や新プロジェクトの発表、日本ブランドの存在感の高まりなど、多くの見どころがあった。そして、日本のカーカルチャーを紹介するだけでなく、マレーシアのビルダーやオーナーが独自の技術と発想で作り上げたカスタムカーにもスポットが当たり、現地シーンの進化を肌で感じられる内容となっていた。

主催者が目指すのは、クルマの展示にとどまらず、音楽や食、エンターテインメント、ライフスタイルまでを融合させた「自動車ライフスタイルを丸ごと楽しめるイベント」。その思いが会場の随所から伝わってくる3日間となった。

日本のカーカルチャーとマレーシアならではの創造性を融合させながら、独自の魅力を生み出していく東京オートサロン・マレーシア。今後のさらなる進化にも期待したい。

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