広島県東広島市に拠点を置く、KGモーターズ株式会社というメーカーをご存知だろうか。今年の東京オートサロン(以下、TAS)2023で、前後対称デザインの1人乗り次世代ミニマムモビリティを展示していたメーカーといえば、「あ、あの!」と思い出す人もいらっしゃるだろう。じつは、このKGモーターズ、YouTubeで高々に「2025年に量産販売を目指す」、つまり、「自動車メーカーになる」と宣言している。なぜ発表の場を東京オートサロンにしたのか、そして、自動車メーカーを目指すと宣言した背景を、代表のくっすんこと、楠一成氏に伺った。

モニターリースの事前登録に5800件が応募

右から、「やすま」こと、松井康真氏、「くっすん」こと、代表取締役CEOの楠一成氏、「ぽこみち」こと、奥野慎一郎氏、「わいざん」こと、取締役の横山文洋氏の4名のメンバーが集結し、超小型EVモビリティの普及活動をスタートさせた。

─今年の東京オートサロンで展示した「ミニマムモビリティコンセプト」は斬新、かつユニークなデザインで来場者の注目を浴びていました。昨年、YouTubeを通して自動車メーカーを目指すと宣言され、その計画は着々と進行していることを証明したわけですが、数ある発表の場の中から東京オートサロンを選んだその目的と、事業展開をするうえでの狙いを教えてください。

まず、2022年のTASに出展する数ヶ月前に、YouTubeを通して「自動車メーカーを目指します」と発表させていただいて、”それは本気なんだよ”っていうことを示すために、T-BOXプロトを作ってTASに出展させていただいたのが一番初めとなります。

─そもそも自動車メーカーを目指そうと思ったキッカケは、何だったのでしょうか? 我々はYouTube(くっすんガレージモーターズ)で御社の存在を知ったので、率直にいうとYoutubeの企画のひとつなのかなと思っていました。

キッカケは、私の原体験みたいなところがあります。私は広島県呉市出身で、この地域は道路がものすごく狭くて、坂もいっぱいあるところなんです。だから、自ずとそこで生活する足は軽自動車が主になるのですが、それでも道幅ギリギリみたいなところが多いんです。そんな原体験から、もうひと回り小さいモビリティがあってもいいよな、と思ってました。ただ、その時点では、自動車メーカーを作ろうという気持ちは全然ありませんでした。

その後、月日が流れて、そもそも車を作ること、さらに自動車メーカーを目指すことは、それこそ昭和の高度経済成長のときならまだしも、現在に至る日本においてはそういう発言をする人はほとんどいないだろうし、そもそも不可能に近い。ただ、日本だけでなく、世界中が動きはじめた直近のEVシフトの流れや、100年に一度の大変革期と言われる現在の自動車業界において、もしかしたらチャンスがあるかなという、漠然とですが思えるような時代の流れになってきた。YouTubeはその前からやっていたので、いいタイミングかなと思い、自分たちの考えや、やろうと思っていることを、YouTubeを通していろいろ発信しはじめました。

とはいえ、当初は、自動車メーカーを作るって「現実的じゃないよね」っていう気持ちがどこかにあったんです。ただ、YouTubeを始めて自分たちの知名度が業界のなかで少しずつ浸透していくにつれて、出会う人もどんどん増えてきてました。その人たちの協力を得たり、巻き込む人が増えていくにつれ、自分のなかで描いていた「自動車メーカーを作る」という夢が少しずつ現実に変わってきました。


─世界的なEVブームや中国を中心としたスタートアップ企業の躍進など、うまくタイミングが重なったところも大きい感じですね。そこでなぜ東京オートサロンという舞台を選ばれたわけですか?


YouTubeで知っている人だけに届けるよりかは、やっぱり公平な大きな舞台で発表する場が必要だと感じました。東京オートサロンの力をお借りして発表させてもらって、私たちの知らない人に、このプロジェクトがどう映るかっていうところを知りたかったんです。

私は、YouTubeをやる前は自動車のパーツを開発して販売する会社で働いていて、東京オートサロンや大阪オートメッセ、もちろん東京モーターショーもいろいろと足を運んでみてきましたが、集客や発信力という観点から、やっぱり東京オートサロンだろうと思ってました。


─これまでの内燃機関のクルマではなく、電気自動車という点もハードルを下げてくれたところもありますか?

そうですね。10年前だったら、このミニマムモビリティを作るための部品も簡単には手に入らなかったと思います。結局、本当に自動車を作れるのは、既存の自動車メーカー以外には厳しいでしょう。ただ、例えば、モーターひとつとっても、この10年でかなり裾野が広がり、ある程度汎用的なモーターであれば、手に入るようになりました。量産は別として、とくにこのミニマムモビリティのような電気自動車は、実験レベルでの車両づくりにおいてはハードルは下がったように思います。


─2022年に初めてT-BOXで東京オートサロンに出展されたときの反響はいかがでしたか?

始まる前は、正直、めちゃくちゃ怖かったです。お客様全員に、素通りされたらどうしようと(笑)。結果的に、多くの来場者に足を止めていただけたんですが、2022年については、正直、自動車メーカーを目指すと言いましたが、車両制作も思いつきで作りはじめて、ユーザーがどう使うかとか、何の課題を解決するかといった市場調査みたいなものを全く無視して、ただただ自分たちの作りたい車両を作って出展した。究極のプロダクトアウトみたいな感じでした。いま思うと、量産メーカーというイメージが自分の中でも湧いていなかったのだと思います。

─それでもお客様からは反応があった?

「欲しい」とか、「乗ってみたい」という声は会場でも数多くいただきました。また、ネット記事などにも取り上げていただいて話題にもなったので、多くの方に関心は持っていただいたんですが、「じゃ、買ってまで乗るか」というとそこまでイメージは持たれていなかったと思います。あくまで推測ですが。そのひとつの裏付けとして、T-BOXと、このミニマムモビリティコンセプトをSNSなどの二次的広がりで比較すると、圧倒的に後者のほうが広がり方ではすごいです。

2022年の東京オートサロンに展示したT-BOXは、ラダーフレーム構造と、前後にモーターを搭載した本格オフロード性能を備えた超小型EVとして注目を集めた。

─その違いは何だと思われますか?

T-BOXは、コアなクルマ好きの人が今までにないクルマで「面白いじゃん」みたいな反応をしていただいたと思います。かたや、ミニマムモビリティコンセプトは、デザインもユニークで、コアな人以外が見ても受け入れられたと思います。また、「原付並みの維持費で快適に走れますよ」というコンセプトも明確にお伝えできたので、お客さまも利用イメージを持てたことで、どんどん波及していったと思われます。

─ある意味、ビジネス的な要素を匂わしたことで、御社の本気度が伝わったんですね。

いま、振り返ってみると、T-BOXは、究極のカスタムカーでした。制作依頼があれば、年間に数台は作れたと思いますが、バックヤードビルダーの領域を超えていなかったと思います。それは我々にも要因があって、車両を製作していても、ビジネスの視点から俯瞰したときに、やはり何か足りなかったと思います。私たちが作る小型の電気自動車は、交通の概念そのものを変えてしまうっていうところを目指していますので、1年かけて市場調査を行いながら、そのひとつのかたちが、ミニマムモビリティコンセプトとなります。

─前作のT-BOXが東京オートサロンに出展された目的は、御社の認知度アップと、その反響のリサーチであり、このミニマムモビリティは販売イメージを掴むための反響を見るためということですね。

まさにおっしゃるとおりです。

─御社はオンラインオートサロンの機能を使って、積極的にリリース配信をしていらっしゃいますが、そのなかで今回、2025年の販売に向けて、100台のモニターリースの事前登録募集の記事を拝見しました。反響はいかがですか?

東京オートサロンだけで集まった数ではないですが、東京オートサロンをきっかけに、ニュースメディアやSNSなどで拡散、さらには自分たちのYouTubeで配信したところ、現時点(3月末)で約5800件の募集がありました。

─約5800件、それはすごい反響ですね。

我々の当初の目論見としては、2月末時点で500件の募集を想定していました。もし、500件に到達できなければ、我々のコンセプトでは難しいだろうという判断です。しかし、想定を遥かに超える約10倍もの反響に我々も驚いています。

─このモニターリースは2024年に実施すると発表してます。ものすごく楽しみですね。

我々がやろうとしているスケジュール感は、開発スタッフを揃えるところから始まって、予算を確保し、設計、開発まで考えると、破滅的なスケジュールだと思っています(笑)。このミニマムモビリティコンセプトは1台限りで作っているため、人の手がものすごく加わっています。しかし、2024年に実施するモニターのコンセプトモデルは、現時点からさらに改良を加えて、より量産に近いモデルに乗ってもらい、自分たちが立てている仮説の検証になります。たくさんの人に乗ってもらうと、さまざまな課題が出てくると思うのですが、それを自分たちのモビリティで解決できるのかという確認的な意味合いが強いわけです。

また、モニターの走行データがどんどんと集まってきます。例えば「この勾配のときはこのぐらいアクセルを踏んでいて、そのときどのくらい電流が流れている」とか、「この使い方ではモーターやバッテリーの温度が上がる」というようなことを、全部吸い上げていけるような最終量産に近いモデルで行わないと意味のないデータとなってしまいます。それを短期間でやってしまわなければいけないので、結構大変なんです。

─ところで、このミニマムモビリティコンセプトは、現在、公道は走れないのでしょうか? もし、走れない場合は、どこを調整されているのですか?

走行はできますが、現時点では公道は走れません。いま取り組んでいるのは、メーターをデジタル出力で映し出す部分ですが、モーターからの回転信号を拾って、それを演算してプログラムに落とし込んで、メーターに表示させるところをやっています。なので、いまはまだ速度表示が出来ていない状態です。

─でも、実際に車両を目の前にしたり、YouTubeの配信を見ていると現段階でも大丈夫ではないかと思ったりもするんですが、残されている課題とはどのようなことでしょうか?

基本的にパッケージとしてというよりは、量産化に向けた課題が大きいと思います。単純な話、ひとつ工程が増えるだけでコストが上がってしまいます。1台だけを作るのであれば、究極、職人さんに頑張って作ってもらえばできると思うんですが、量産、しかも100万円以下で販売しようとする目標がありますから、品質を確保しながら、構造を簡略化して部材のコストを下げる努力をしなければいけません。

しかも、ミニマムモビリティコンセプトは、モーターなのでスムーズな走行は可能なのですが、原付ミニカーのきていで出力制限があります。このプロトタイプはコストの関係ですべて鉄で作ってますから、その決められたモーター出力のなかで、とくに実用域の走行や電費を考えると、もっと軽量化を目指さなければいけません。

─そもそもの話ですが、このミニマムモビリティコンセプトが当てはまる車両規格はどんなものなのでしょうか?

第一種原動機付自転車(ミニカー)に該当します。車検不要で税金や保険も原付と同等の維持費で所有できます。駐車証明の必要もありません。充電も、家庭用の100Vコンセントで対応できるため専用の充電設備も不要です。乗用車や軽自動車に比べるとものすごくアバウトな領域です。時代を遡れば、スーパーカブがそうだったように、自転車に小さな原動機をつけたことからスタートしていますからね。規格内にサイズを収めたり、モーターの定格出力などを法律上定められて基準をクリアしていれば、基本的には登録できて走行が可能です。


─実際、量産化モデルを購入したいという希望者はいらしゃるのでしょうか? また、その方だちはどういうところに興味を持っていらっしゃるのでしょうか? 

ありがたいことに購入したいと声を届けてくれる人は結構多いですね。5800件のモニター募集のアンケートリサーチでは、「新しい乗り物に対するワクワク感」「新しいプロダクトに触れたい」というイノベーターの方たちが一定数いらっしゃいます。

一方で、我々のミニマムモビリティコンセプトは、ひとりでクルマ通勤をされている人への活用シーンをイメージして、「維持費も下げれてチョイ乗りできて最適ですよ」という触れ込みでPRしています。おそらくこの層がメインとなるであろうと期待しています。それらに該当する人もこのコンセプトにとても興味を示していただいているのですが、やはりイノベーターほどリスクが負えないという反応があります。例えば、「予約してもちゃんと発売できるのか」「坂道は登るのか」「小型だけど安定性はあるのか」などといったご意見があります。まだスペックや性能は公表してませんから、当然と言えば当然ですよね。我々は、その不安を解消し、しっかりとアピールすることが購買に繋がるのだと思っています。

─いまのお話をお聞きするとミニマムモビリティコンセプトの購入ターゲット層は30〜50代だと思いますが、高齢者には需要があるように思います。


そうですね。高齢者に需要があるのはほぼ間違いないと思ってます。一方で、はじめからその層に向けて車両の開発を進めると「高齢者専用車」というイメージが付いてします。しかし、まずは超小型EV、新しいモビリティであるところをアピールして若い世代に注目してほしいという希望があります。最近、角目から丸目に変更したり、ボディカラーも目立つ黄色に塗り変えました。そうしたところ、男性よりも女性の方に響いたようで、デザイン、サイズ感、カラーととても好評でした。


現状で公表されているスペックは、全長2,450mm×全幅1,090mm×全高1,500mmで、ピーク出力は5kWで航続距離100kmが走行可能な一人乗りモビリティ。充電も100V電源で5時間充電すれば、満充電となる。※量産モデルでの仕様変更の可能性あり

─販売目標はどのように計画されていますか?

2030年に10万人が使用してもらえることを想定しています。都市圏の人よりは、やはり地方の人が中心になると思います。

─具体的な販売方法は決まっていますか?

確定はしていませんが、いまのところの想定では、インターネットでのダイレクト販売を考えています。実際にお客様の目に触れることや試乗会などは、リアルなところで仕掛けていかなければいけないと思っています。

─整備ができる拠点などは各所につくられる予定はございますか?

モビリティである以上、メインテナンスは必須ですし、利便性が必要だと思っています。これもまだ決定ではないのですが、昨年からENEOSホールディングス様とアクセラレーターさせていただいて、ENEOS様が持つ全国1万3000ヶ所のサービスステーションでメインテナンスができないかとお話を進めております。また、損保会社とはロードサービスの利用も検討中です。

全幅1,090mmにこだわったミニマムモビリティコンセプト

─このミニマムモビリティコンセプトは、原付ミニカーの規格サイズをフルに使っているのでしょうか?

全長は規格を目一杯使っていますが、横幅は、規格1300mmのところ、1090mmとなっています。全高は1500mmくらいですね。T-BOXが全高2000mm目いっぱいの高さです。とくにミニマムモビリティは全幅にこだわりました。別の小型モビリティを開発しているところと少し話をした際に、全幅で議論になったのですが、我々は1090mmへのこだわりは変えませんでした。

─その全幅のこだわりは? 一見、幅が広い方がいいのでは?と思ってしまいます。

元々、全幅1300mmの規格は、昔の360ccのエンジンを搭載した時代のままで、大人ふたりが横に並んで座れるギリギリのサイズとなります。ただ、その場合、運転姿勢に影響が出るんです。タイヤハウスがあるため、身体が内側にねじれ、ハンドルと身体がオフセットするため、ものすごく乗りづらくなります。このミニマムモビリティは、基本センターポジションにしています。センターポジションを取れれば、車室内空間の幅は900mmでも余裕が生まれますが、トレッドがそれだけ狭くなるため、横転のリスクがあります。

また、規格ギリギリの1300mmを目指すと、元々、私の原体験からスタートしたこのプロジェクトの原点となる、「狭い道での機動力」が損なわれてしまいます。このミニマムモビリティはYouTubeでも紹介しているのですが、1090mmの全幅であれば、自動車教習所の二輪専用の「S字型狭路」や「クランク型狭路」のコースを走行しても問題なく走ることができます。

車庫証明も不要ですから、軽自動車でも置けないような、デッドスペースの駐車もこのサイズなら可能です。


一人乗りのメリットを活かして、シートポジションはほぼセンターポジションにレイアウトされる。

─量産モデルに落とし込むときに乗り越えなきゃいけないハードルはなんですか?

ひとつは軽量化です。量産コストと見合うところまで持っていけるのか。あと、重要視しているのは、衝突安全基準です。原付ミニカーには、法令上、衝突安全基準の明記はないのですが、ユーザーはやっぱり気になる部分です。軽い車体の中でどこまで安全性を担保できるか。もし、安全性が確保できればアピールポイントにも繋がります。

─軽さのこだわりは

モーターの定格出力が決まっているため、たとえば坂道で失速してスムーズに登らなくなると、後続車への渋滞の要因を作ってしまいます。そうなるドライバーには運転のストレスとなります。パワーがないぶん、軽量化は重要です。また、ユーザーがストレスになったり、不安に感じたりする部分はまだたくさんあると思いますので、それを取り除く取り組みはやっていく必要があるでしょう。

法令で出力制限があり、モーターの定格出力は0.59kWとなる。

─最高速度は何キロまで出るのですか?

一応、60km/hなんですが、量産モデルではもう少し落とすかもしれません。結局、トレードオフなんです。モーター出力が制限されている以上、減速比を低くして最高速を削ってでも、究極45km/hや50km/mキをキープしやくしたほうが、日常生活の中では使い勝手がいいのかもしれません。やっぱり45km/h以下に失速すると結構苦労するんです。乗用車だと勾配1〜3%はまったく意識しませんが、ミニマムモビリティではパワーの制限があるので、少し勾配でも想像以上に傾斜を感じるんです。

我々が、チームとして絶対に避けなければいけないのは、新しいモビリティというワクワク感があって、一定数のイノベーター層は購入していただけると思っているのですが、購入した後に、「これ駄目だ」と評価を下されることなんです。たとえば、1ヵ月乗ってみたけど良くない評価がついたらその先はないと思っています。なので、完璧はないと思いますが、極力、ユーザーがストレスを感じたり、不安に思うことを排除して、ずっと乗ってい続けたいと思ってもらわなければいけません。カタチにすることは簡単ですが、その点は非常にプレッシャーを感じています。

─安全面での担保というところは何を考えていらっしゃいますか?

エアバッグをはじめとした、乗用車のような安全装備を考えていくともうキリがありません。基本的には乗用車とは違うアプローチで考えています。ひとつは、骨格上、前後の衝突に関しては、ドライビングポジションがほぼ車体のセンターに位置しているので、前後でキレイに潰していってドライバーのいる真ん中のキャビンは絶対に守る方向です。

もうひとつはEPP(発泡ポリプロピレン)という発泡部材をどこまで活用できるかを検討しています。このEPPの具体的な使用例は、船舶が接岸時に船体の損傷を防ぐために側面などに取り付けている緩衝材です。これをバンパーとサイドシルなど車両の全周に埋め込み、そもそもの衝突エネルギーをこれで吸収しようと思ってます。また、内装部材の使用も検討しており、万が一の衝突時に、乗員の身体が動いた時でも、この緩衝材が保護してくれることを想定しています。このような発想で安全性を担保しようと思っています。素材自体も軽いので、重量増の低減にも貢献します。

ドアの内張りには、船舶の接岸防眩材として使用されるEPP(発泡ポリプロピレン)の採用を検討する。

目標販売価格100万円以下での量産モデルの構築にあたっては、ここで語っていただいた走行や安全性といった性能以外にも、雨天走行、空調など、乗り越えないければいけないハードルは、きっとまだ山ほどあるはずだ。ただ、KGモーターズが目指す「一人で快適に安全に移動できる乗り物を最小単位で実現する」コンセプトは、成功すればこれまでの価値観を変えるものであり、いい刺激をいろんなところに与えるものとなるはずである。オンラインオートサロンでは、これからも彼らの活動をウォッチしてこうと思っている。