2026年8月26日(水)から30日(日)までの5日間、タイ・バンコクのBITEC(バンコク国際貿易展示場)で『BANGKOK AUTO SALON 2026(バンコクオートサロン2026)』が開催された。

タイのカーカルチャーが炸裂!

東京オートサロンの公式ライセンスイベントとして12回目を迎えた今回は、「Celebrate Bangkok Destination」をテーマに、タイをはじめASEAN各国からカスタムカーやアフターマーケットブランド、カークラブなどが集結。
さらに同じBITECでは、8月21日から30日まで『BIG MOTOR SALE 2026』も開催。新車を購入するユーザーと、カスタムカーやモータースポーツを楽しむユーザーが同じ場所に集まり、BITEC一帯がタイの自動車文化を一度に体感できる空間となっていた。

会場内だけでなく屋外にも個性的なカスタムカーが集結!

バンコクオートサロンが行われたHall 100は、とにかく「クルマが好き!」という人たちが集まる空間。

ホンダ、トヨタ、マツダ、メルセデスベンツなどの自動車メーカーをはじめ、アフターマーケットブランドなど約100のブースが並び、エアロパーツ、ホイール、サスペンション、ブレーキ、エンジン関連パーツ、インテリア、カーケア用品など、カスタムカーを作るためのアイテムがズラリと並んだ。

さらに屋外エリアでは、ドリフトパフォーマンスを楽しめる『BAS Drift Arena』、タイムアタック形式で競う『Club Race』、カークラブが参加する『Car Club Party』、カスタムカーが走行する『BAS Car Parade』なども実施。
日替わりで行われたカークラブミーティングには合計500台ほどの車両が参加し、毎日訪れても飽きないほどのコンテンツが用意されていた。
屋外ステージではDJやライブバンドによる『BAS Live Stage』も開催。LEOビールのテントも出展するなど、単なる自動車展示会ではなく、愛車を中心としたカーカルチャーそのものを楽しむフェスティバルへと進化していることを感じさせた。

クルマも人も海を渡って日本から来場

『HONDA BLITZ PRELUDE Type BZ』と小林潤一代表。BLITZ AERO SPEEDのエアロパーツを装着し、BIG CALIPER KIT II、ENKEI Racing NVR5 19インチホイールなどを組み合わせたハイパフォーマンス仕様。外装のグラフィックは、よく見るとBLITZの文字が混ぜ合わされている。
『CREWCH CrazyZ』と久留内良彦代表。全幅2mに迫るオリジナルワイドボディに、700ps超+NOS仕様のエンジンを搭載するドラッグレース車両。左右で雰囲気の異なるホイール&タイヤを装着しているのもポイント。
東京国際カスタムカーコンテスト2026でコンセプトカー部門優秀賞を受賞した『KUHL OUTROAD GR86 LIFTUP』。リフトアップサスペンションをはじめ、ワイドフェンダーに大径ホイール&タイヤ、スキッドプレートなどを組み合わせ、サファリ/ラリー系のスタイルへと変貌させている。

会場には日本からクルマだけでなく、メーカー関係者やプロショップチューナーも来場。
タイで『TOPSECRET Thailand』をはじめ『TOPSECRET Cafe』『TOPSECRET RAMEN』などを展開するトップシークレットの永田和彦代表や、現地代理店を持ちロータリーミーティングなども開催しているRE雨宮の雨宮剣氏らは、オフィシャル動画インタビューにも登場。タイにおける日本のチューナーやカスタムブランドの知名度の高さを感じさせた。

日本から招待車両として『BLITZ PRELUDE TypeBZ』を展示したBLITZの小林潤一代表は、現地市場について「想像以上に電気自動車のマーケットが大きい」とコメント。タイで販売されている車両向けのパーツ展開や、EV向けパーツの可能性についても検討していきたいと語った。
また、SPKグループとしてタイでも事業展開を進めるBLITZは、今回のイベントをきっかけに現地の関係企業や取引先などを訪問。単なる展示にとどまらず、海外展開を進めるためのビジネスの場としてもBASを活用していた。

一方、『CREWCH CrazyZ』を出展したクルウチの久留内良彦代表は、タイの街を実際に見て「昭和の頃の日本のようなエネルギーに満ちている」と、その熱気を表現。さらに、街を走るクルマにドラッグレースを連想させるタイヤが装着されていることなどにも注目し、「ぜひこの国でドラッグレースをやってみたい」と、新たな構想を膨らませていた。

『KUHL OUTROAD GR86 LIFTUP』を展示したKUHL海外担当の川村氏も、中国EVを中心とした市場の大きさを実感。ミニバンやSUVなど、KUHLが得意とするカテゴリーへのパーツ展開を提案していきたいと話した。

それぞれが現地の空気に直接触れることで、日本国内だけでは得られない新たな発想を得ていたのも今回のBASの大きな収穫といえるだろう。

メーカーも「カスタム」で参戦!

バンコクオートサロンで興味深かったのが、アフターマーケットブランドだけでなく、自動車メーカー自身もカスタムカーを展示していたこと。
なかでも注目を集めていたのがHondaだ。
Hondaはタイで「HRC(Honda Racing Corporation)」ブランドを正式に展開することを発表し、CR-V TRAILSPORT、City HRC、Civic HRC、そして電動モデルのSuper-ONE MUGENという4台のカスタムモデルを披露。メーカー自らが「レーシングテクノロジー」「スポーツ」「カスタム」をキーワードに車両を提案することで、アフターマーケットブランドとは異なるカスタムの楽しみ方を提示していた。

ToyotaやMazdaなども特別なモディファイを施した車両を展示。メーカー、チューナー、ショップ、そしてユーザーが同じ場所に集まることで、タイにおけるカスタムカーシーンの広がりを感じさせる展示となっていた。

タイに進出する日本ブランドの存在感

会場を歩いていてもうひとつ興味深かったのが、日本ブランドの現地代理店の存在だ。
HKS、GReddy、CUSCO、ヴェイルサイド、KUHLなど、日本ではおなじみのブランドを扱う企業がタイ国内で事業を展開しているだけでなく、日本から完成車やパーツを輸入して販売するだけではなく、自らカスタムカーやオリジナルパーツを製作する動きも見られた。
これは日本のカスタムビジネスがタイ市場に根付き、現地のユーザーやショップとともに独自の進化を遂げていることの表れともいえる。

さらに中国やマレーシアなどからも企業が参加。日本のカスタムカーをタイへ持ち込んで紹介するだけではなく、ASEAN各国の企業やユーザーが集まり、ビジネスや情報交換を行う場へと変化していることが見て取れた。

BIG MOTOR SALEで見えた、EVが席巻するタイの新車市場

いっぽう、隣のホールで開催された『BIG MOTOR SALE 2026』。

今年で13回目を迎える大型の自動車・二輪車展示販売イベントで、BMW、Mercedes-Benz、VOLVO、TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、NISSAN、MG、TESLA、BYD、GEELY、ZEEKR、CHERY、GWM、XPENGなど、タイ市場で販売されるさまざまなブランドが一堂に集結。
会場では車両を展示するだけでなく、各ブランドの販売スタッフと直接話しながら価格や装備を比較したり、試乗したりすることもできる。

EV、ハイブリッド、SUV、ピックアップ、乗用車、二輪車まで幅広いモデルが並んでいたが、なかでも強く感じられたのがEVの存在感。日本国内とは異なるスピード感で中国系EVブランドが市場に浸透しており、実際にBASの会場を訪れた日本のチューナーやメーカー関係者からも、タイにおける中国EVの勢いに驚く声が聞かれた。

カスタムカーの世界だけを見ていると気づきにくいが、BIG MOTOR SALEまで合わせて見ることで、現在のタイの自動車市場が大きく変化していることがリアルに伝わってきた。

新車を買う人も、クルマをイジる人も楽しめる。それが2026年のBITEC

今回のバンコクオートサロンを取材して感じたのは、BITEC全体が「タイの自動車文化を体験する場所」になっていたこと。

BIG MOTOR SALEでは、最新のEVやハイブリッド、SUV、ピックアップなど、現在のタイ市場を映し出す新車をチェック。そしてバンコクオートサロンでは、東京からやってきたショーカーやタイのカスタムカー、アフターマーケットパーツを楽しみ、さらに屋外ではドリフトやカークラブ、パレードを体感する。
「新しいクルマを買いたい」という人と、「自分のクルマをカッコよくしたい」という人。目的の異なるユーザーが同じBITECという場所で、それぞれのクルマ文化を楽しんでいたのが今回の大きな特徴だった。

2026年のテーマである「Celebrate Bangkok Destination」は、まさにそんな今回のイベントを象徴するもの。
日本から海を渡ったカスタムカー、タイのビルダーが作るマシン、さまざまな場所から集まったカークラブ、そして最新のEVや新車。それらが一堂に集まった5日間を通じて見えてきたのは、バンコクオートサロンが「日本のカスタムカーを見るイベント」から、「ASEANのカーカルチャーが交差するイベント」へと進化している姿だった。