三菱eKクロス EVベースの20インチリフトアップモンスタートラック仕様

コンパクトカー部門の最優秀賞を獲得したのは、静岡工科自動車大学校の“モンスター EK X”。自動車板金技術を中心としたボディ修復と塗装技術を学ぶボディエンジニア専攻科の学生12名が、卒業制作として作り上げた三菱ekクロスEVベースのモンスタートラック仕様だ。

プロジェクトは24年3月からスタートし、3案のなかから2案に絞られ、全学生と職員による投票により決定したもの。このモンスタートラック仕様の対抗馬として最終候補に残ったのは、方向性が真逆のローダウントラック仕様だったというから面白い。その後ベース車となるekクロスEVが6月末に三菱自動車から寄贈され、9月の作業開始から約3ヶ月間で完成させたものだ。

なんといってもモンスター EK Xで目を見張るのは、20インチ(約50cm)リフトアップされた迫力のスタイル。ルーフは大胆にカットされ、後席ドアは溶接後にパテ埋めでスムージング加工され2ドア化。もちろんオリジナルホワイトにグレーとブラックのグラフィックを追加したボディカラーはオールペイントによるものだ。

追加されたパイプ製のロールケージは、スペアタイヤラック機能も兼ねているのがポイント。パイプ製バンパーやマークレスでブラックアウト化されたフロントマスクも含め、完成度の高いオフロードスタイルを演出しているのだ。

興味深いのはリフトアップされたボディに対し、バンパー下のワンオフフレーム内に置き去りとなったパワーユニットで、その結果ボンネット内はもぬけの殻状態となっている点。本来オフロード走行には適さないレイアウトではあるが、100万円という限られた制作費のために、ここは妥協せざるを得ない部分だったという。

「製作中には意見の相違による対立などもありましたが、12名それぞれが担当した部分に全力を尽くして製作したクルマが最優秀をいただけて感激です」とは制作チームの渉外担当学生。「多くの自動車学校が参加している東京オートサロンのなかで、当校の出展車が来場者の方から認めていただけてうれしいですね。学生たちの苦労が報われた思いです」とはプロジェクトを支えた斎藤講師だ。