ダウンフォースを稼ぎつつ空気抵抗を減らす

エアロの形状によって空力特性が変わることは、今や常識と言っていい。GTウイングはもちろん、フロントバンパーやリップスポイラーなど、走行風と接する面の形状によって、ダウンフォース量や空気抵抗は変わる。

ただし、エアロパーツメーカーが実際に自社製品の空力特性を実測し、どのように空力特性が変化するのかを把握しているところはそう何社もないのが事実。『実際にサーキットを走行してみて効果がありました』といったレベルが大半だと思う。

そんな中で、ここで紹介するガレージベリーのRZ34用エアロは、実際に空力特性の計測を実施したモデルだ。今回はその風洞実験の現場に密着。走行風に見立てた風を実車に当てて、前後のタイヤに掛かる荷重の変化(揚力)と、クルマが風に押される力(抗力)を計測して、ダウンフォースと空気抵抗を測るというテストだ。

今回テストするエアロは、ガレージベリーの新作となるフロントバンパーを中心に、専用のリップスポイラー、リヤスポイラー、GTゲートウイングの4種類で、装着5パターンを計測。①新作フロントバンパー+純正リヤスポイラー、②新作フロントバンパー+専用リップスポイラー+純正リヤスポイラー、③新作フロントバンパー+ガレージベリーリヤスポイラー、④新作フロントバンパー+ガレージベリーGTゲートウイング、⑤新作フロントバンパー+専用リップスポイラー+ガレージベリーGTゲートウイングを計測した。

結果は概ね予想通りの傾向だったが、期待以上の実力を見せたのが新作フロントバンパー専用のリップスポイラーだ。フロントバンパーのみよりもダウンフォースを発生させながら、空気抵抗は減らす…という理想的な空力特性を持っていたのだから恐れ入る。

計測は送風機が定格出力になってから安定した状態で、90秒×3回(疑わしいデータがあった場合は4回)行ない、その平均値を計測結果とすることで数値の精度を高めている。尚、計測は54km/hで走行している時と同等の風で行なわれた。

風洞テストによってエアロパーツの性能を数値化しなければ分からない事実。サーキットテストだけでは実証できない性能を数値化して製品に裏付けを取ることは、これからのエアロ業界にとって新しい指標となりそうだ。