GRヤリスチューニング最前線

スポーツカーといえばMTであることが大前提。そう考えている読者もまだまだ多いのではなかろうか。しかし、時代は流れ、技術は進化している。日常使いがメインならなおさらATを選ぶ意義も多いにある。

「ATとMTを同じサーキットで比較したら、タイムもストレートエンドの終速もまったく変わりませんでした。しかもプロドライバーが乗っての結果です」と話すのはブリッツ広報の小林潤一さんだ。

比較したのは、いずれもGRヤリスM/C後の車両。モータースポーツの世界で鍛え上げられた新設定の8速AT(GR-DAT)は、電光石火のシフトチェンジを可能とし、シフトダウン時のブリッフィングも秀逸だ。MTはシフトを自在に操る楽しさがあるのも確かだが、よりドライビングに集中できる分、一般ドライバーならATを選んだほうが速く走れる可能性が高い。

そんな事実が判明したのも、ブリッツがAT、MTの2台体制でGRヤリスM/Cモデルの開発に取り組んでいるから。GRヤリスM/C前、GRカローラに続き、ストリートで楽しく、快適に走るためのパーツの適合や開発を進めているのだ。

同じGRヤリスでも、M/C後になって進化したパートは少なくない。例えばG16Eエンジン。最高出力が272㎰から304㎰へと引き上げられた。

「あくまで推測ですが、制御系も含めて同じエンジンを積み込むGRカローラのノウハウがフィードバックされている印象です。マフラーも基本構造は同じですが、テールパイプ径や左右テールの間隔、消音器の容量が異なっていて、しっかり消音しつつ排気効率を高めようという狙いがうかがえます」。

その他、外装のディティールや着座ポジション、四駆システムの制御など、進化のポイントは枚挙に暇がない。ブリッツではそれらひとつひとつを検証し、パーツ開発を加速させていくという。

「カプラーオンで約38㎰アップを実証しているパワスロは、すでにM/C後用もリリース済みです。ダンパーZZ-R車高調や、カスタムエディションマフラー、カーボンインテークなどの開発も進めているのでご期待ください」と話す。ブリッツの今後の動向に、ますます目が離せない。