RZ34で取り組む新旧融合スタイル

スポーツカーらしいスピード感あるスタイルをコンセプトに掲げ、2016年に立ち上げられたエアロブランドがスピードフォルム。今回の取材車両こそ現行モデルのRZ34だが、ラインアップの中軸はS30やハコスカ、ケンメリといった70年代の旧車となっている。

「オリジナルエアロの開発に取り組んだのは、旧車ツーリングの過程でズラリと参加車両が並べられた際に愛車の姿を見失ったことがきっかけですね。オリジナルをリスペクトしつつ、スポーツカーらしい疾走感が楽しめるエアロで存在感を高めるため、旧車ではナンセンスとされていたカーボンも躍動感を感じさせる素材と判断して投入しました」とは、代表の川内さんだ。

ただ、近年の旧車ブームにより、S30は簡単に手が出せない車両価格となってしまった。そんな時にS30をオマージュしたRZ34が登場すると知った川内さんの中で閃いたのは、新旧融合のクロスオーバー。直線と曲線が美しく融合されて、未だにカッコ良さが色褪せないS30のエッセンスをRZ34へ注ぎ込み、日本を代表するスポーツカーと心酔するフェアレディZを盛り上げようと、スピードフォルム初の現行モデルでエアロ開発をスタートさせたのだ。

現状はフロントリップやグリルガーニッシュ、フェンダーモールといったアクセント付けを終えたばかりだが、注目すべきは今後開発スタートさせるRZ34のフルエアロだろう。これはオーバーフェンダーなど含めてS30に近づけたスタイリングを目指していくもので、逆に完成したRZ34のスタイリングに寄せる形でS30の再アレンジも行なうという。つまり、S30のエッセンスを注入するだけでは醸し出せないオーラを、S30とRZ34を相互に寄せていくことで補おうという狙いなのだ。

なんとなく当時感が漂うネオクラスタイルにRZ34を導くのではなく、S30に精通するビルダーが真摯に取り組む新旧融合スタイル。どのような仕上がりを披露してくれるのか、今後の動向から目が離せない。