ルノー製スポーツモデルの“本気”を感じる3台をセレクト【東京オートサロン2023】

ルノーと言えばフランスの自動車メーカー。そんな説明は不要かもしれないけれど、東京オートサロンで3台の車両展示を行ったと聞けば、並々ならぬ意気込みが伝わってくる。だけど一方で、ルノーってお洒落で、キュートなクルマが多いブランドでしょ、とそんな部分だけ印象に残っている人も(もしかしたら)いるかもしれない。

もちろん、その通りではあるのだけど、“とびきりホットな辛口モデル”を作るのも得意中の得意なのだ。今回のオートサロンに展示された3台、「ルーテシアRally 5」、「メガーヌR.S.ウルティム」「アルピーヌA110R」はまさにその証明と言えるだろう。

まず、往年のラリー車を思わせるホワイト×イエローのペイントが勇ましい「ルーテシア Rally 5」は、ネーミングのとおりラリー用の競技専用車両。これは2022年11月10日から13日、愛知県と岐阜県で開催された世界ラリー選手権FIA WRC「ラリージャパン」に、自動車評論家である国沢光宏氏のドライブで参戦した1台。

車内に張り巡らされたロールケージが競技車両らしい“本気っぷり”を感じるし、搭載されるエンジンは1.3リッターの直4ターボとかなりの辛口仕立てだ。ラリージャパンでは生憎のリタイアとなったけれど、一時は上位クラスをも凌ぐ走りを見せ、ラリーファンを沸かせた。現在の日本では入手できないけれど、スポーツ派ルーテシアオーナーにとってはカスタマイズの参考になりそうだ。

一方、メガーヌR.S.ウルティムはというと、世界に先駆けてオートサロンで公開された限定車で、その世界総生産台数は創立年にちなんで1976台。ネーミングのR.S.はルノーのモータースポーツを担うほか、スポーツモデル開発を行ってきた”ルノースポール”を意味するが、今後、こうした役割はグループ内のアルピーヌが継承するという。

つまり、ウルティムは「R.S.」としては最後の限定モデルということ。有終の美を飾るモデルらしく、ルノーのロゴマークであるロザンジュ(菱形)をモチーフにしたブラックマットストライプ、フラックアウトされたロゴマーク、ブラック仕上げのフジライトホイールが与えられる。

ちなみに搭載されるエンジンは1.8リッターの直4ターボで、最高出力は300ps。トランスミッションは電子制御6速AT(6EDCZ)と6速MTが導入される計画で、価格は600万円台中盤を予定しているとのこと。また、ウルティムの登場に伴って、ベースのメガーヌR.S.、メガーヌR.S.トロフィーは生産中止となり、日本でも在庫限りとなるので、気になる方はディーラーへ足を運ぶことをオススメしておく。

そして、もう1台。ルノー・グループのアルピーヌからはアルピーヌA110Rが展示された。アルピーヌA110は1960年代に登場、モータースポーツシーンで活躍した同名のスポーツモデルを現代に蘇らせた2シータースポーツ。2018年の日本デビュー以来、A110S、A110GTとラインアップを拡大してきた。

A110Rは2022年12月から受注をスタートしたシリーズの最強モデル。Rはラディカル、つまり過激を意味しており、ボンネットやホイール、ディフューザーなどにカーボン製パーツを採用。車両重量は1090kgと、スポーツバージョンであるA110Sから34kgの軽量化を果たしている。さらにシャシーも10mm低い専用設定とするなど、サーキット走行を意識したセッティングが施される。

搭載されるエンジンは最高出力300psを発生する1.8リッターの直4ターボ、トランスミッションは7速DCTが組み合わされる。そして、インテリアはSABELT製カーボンモノコックレーシングシートや6点式レーシングハーネスも装備。公道走行も可能としつつも、『R』を名乗るに相応しい、まさに過激なモデルとなっている。

こんな3台を揃い踏みさせるなんて、ルノーってホントにクルマで楽しむスポーツが大好きなんだな、と感じるハズ。“お洒落で、キュート”も事実ではあるけれど、こんな一面を知ってしまうと、今後のスポーツモデルにも期待!と応援したくなってしまうのも偽らざる本心だ。