ここ数年、スズキの東京オートサロンの展示は、ジムニー&ジムニーシエラを筆頭に、アルトワークスやスイフトスポーツなどクルマ好きの心をくすぐる人気者たちが主役だった印象があるが、今年は展示をぐるっと眺めてビックリ。ワークスは生産を終えたし、スイスポもそろそろという話が聞こえてくるからなるほどとは思うけれど、ジムニーまで1台も展示されていない。その代わりにブースを埋め尽くすような勢いを感じたのは、アウトドアライフを楽しむためのキャッチーな提案の数々だ。

クルマの遊び方を広げる提案でいっぱいのススキブース

スズキが掲げたテーマは、“ぼくらは遊び心でつながれる”。それを分かりやすく表現したわけだが、そんな展示の中心となるのが昨年8月に発売された「スペーシア ベース」である。「遊びに仕事に空間自由自在。新しい使い方を実現する軽商用バン」をコンセプトに、商用車の積載性や広い荷室空間、使い勝手のよさと、乗用車のデザインや快適性、運転のしやすさを融合した新しい感覚の軽商用車として登場した。

オーバーヘッドシェルフやリヤクォーターポケット、フロアコンソールトレーなど多彩な収納スペースを採用し、荷室にはユーティリティーナットを計10ヶ所配置するなど、使い方の幅が広がるアイデアを盛り込んでいるのが特徴で、優れた利便性を味方につけたクルマの活用のしかたを、2台の「スペーシア ベース」の展示で紹介している。

そして企画がとってもユニーク。スズキのCMキャラクターとしてお馴染みの「ももいろクローバーZ」のメンバーとともに、Paraviで配信されているももクロの旅番組「お手伝いももクロトラベル」とコラボレーションし、ももクロが「スペーシア ベース」で夢を叶える特別番組を放映。オートサロン中の生配信も行われたのである。

こうして仕立てられた「スペーシア ベース」の一台は、“映えキャン”をテーマにしたキャンプ&車中泊仕様。ももクロの百田佳菜子さんと玉井詩織さんのペアが「映えキャンプに挑戦!」というコンセプトのもと、車中泊系YouTuber「チキチキバンバン」のアドバイスを得て目的に沿ったカスタムを施している。

メンバーがクッションやブランケットなどのアイテムが目を引く車内では縁の下の力持ち的存在だが、カスタムのポイントは標準装備され多彩な使いかができる「マルチボード」だ。これをラゲッジルームの下段モードにセットすることでフルフラットなベッドが完成し、快適に車中泊を楽しめるように仕上がっている。さらにリアハッチを開け簡単に取り付けできる純正アクセサリーのカータープもセットし、キャンプ気分をいっそう盛り上げた。

もう一台は、“おしゃれカフェ”をテーマにしたスペーシア ベース。ももクロの佐々木彩夏さんと高城れにさんが、インテリアトータルプロデューサーMAKOさんと一緒に、おしゃれなカフェをイメージしてかわいらしくカスタム。こちらはマルチボードを中段モードに設置しテーブルとして活用した。好みのテイストのアイテムを揃え車内をデコレーションし、素晴らしい景色を堪能できるで場所でかけがえのないひとときを楽しむというのがコンセプトだ。

なお、2台の「スペーシア ベース」にはどちらにも純正アクセサリーの外部電源ニットが取り付けられていた。これはオートキャンプ場の電源供給設備や店舗など施設の電源とつなぐことで、クルマのバッテリーあがりを気にすることなく最大1500Wまで車内で電化製品を使えるようにするもの。クルマを拠点に活用するさまざまなシーンで役に立つ装備として注目される。

「スペーシア ベース」のほかにもう一台、「エブリイワゴン」がアウトドアを楽しむためのアイテムを満載して展示されていた。こちらは車中泊をテーマに仕立てられ、純正用品の2段ベッドセットを装着。上下ふたりずつ4人が横になって足を伸ばせるスペースが確保でき、レジャーのみならず自然災害などの緊急時にも役立つに違いない。

このほかにも、水着やウェットスーツへ着替えるのに便利なカーテン&タープキットや、フロント&リヤのプライバシーシェードなども取り付けられ、アウトドアを満喫するための純正アクセサリーが充実していることを実感できる展示となっていた。