昨年も注目を浴びたスペシャルバージョンが市販に向けて始動

昨年の東京オートサロンで日本初公開となり、話題をさらった新型フェアレディZ。1969年にデビューした初代モデル「S30」へのリスペクトにあふれたデザインなど、時代を超えて脈々と受け継がれるその魅力に心を掴まれた方は多かったに違いない。そして、その東京オートサロン2022では市販バージョンのほかに「FAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTO」が展示されていたことを覚えていらっしゃるクルマ好きもいらっしゃることだろう。

「FAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTO」は、この年のコンセプトカー部門 最優秀賞を獲得し、市販化も期待されたカスタムモデルだが、いよいよ市販化に向けて動き出したことが発表された。それが今年の日産ブースで大人気となった「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」だ。基本コンセプトには変更がなくイメージは変わらないが、昨年のプロトタイプが採用していたオーバーフェンダーと上下2分割のマフラーは省かれている。

展示の方法も心憎い。オマージュを込めた初代フェアレディZ432Rと並んで展示されたのである。S30の中でもスカイライン2000GT-Rと同じ直列6気筒DOHC4バルブエンジン「S20型」を搭載したハイパーフォーマンスグレードが「フェアレディZ432」。そして軽量化などを徹底し、さらなる高性能バージョンとしてごく少数が用意された競技ベース車両が「Z432R」だ。ブラックのボンネットフード、サイドストライプ、リヤスポイラー、ブラックのマグホイールなどでレーシーな出で立ちは、なんとも言えないオーラに満ちている。

数々の名車を間近で目にして歴史をたどることができる日産ヘリテージコレクションにも収蔵されていないレアモデルは、実に素晴らしいコンディションを保っているとお見受けしたが、2台が並んだ様子を眺めると、「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」が長い時間のなかで育んできた似るもののないキャラクターやデザインアーカイブをしっかりと受け継ぎ、身にまとっていることに感心させられた。

「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」に与えられたカスタムパーツは多岐にわたるが、まず目を引くのはフロントバンパーだ。標準モデルは一体型のグリルとなるが、CUSTOMIZED EDITIONはボディ同色の塗り分けを用いて上下2分割のデザインを採用。メッキバンパーで2段構えとなったS30のグリルを彷彿とさせ、「FAIRLADY Z」のエンブレムも取り付けられる。

さらにボンネットのセンター部をブラックにするエンジンフードステッカーと、車名のロゴをあしらったボディサイドステッカーを採用。加えてドライカーボン製のリヤスポイラーを取り付けることで、エクステリアがより引き締まった印象となった。さらにもうひとつ。細部に魂が宿るというが、Cピラー部のZエンブレムも専用品に交換している。周囲に7つの凹みが設けられたタイプとなるのだが、これは第7世代のフェアレディZであることを示している。

19インチホイールは専用品が用意されており、こちらも泣かせるデザインだ。昨年のプロトタイプは現代的なデザインのホイールを装着していたが、こちらはヒストリックモデル御用達で知られる8本スポークモデルが目に浮かぶデザイン。温故知新を地でいくエクステリアデザインに、とてもよく似合っている。

以上がスペシャルなアイテムの内容だが、これらはアクセサリーパッケージとして用意され、標準車に装着するかたちで販売される予定。ただし、この鮮やかなオレンジのボディカラーは展示車両のみの参考出品で、現在のところ市販予定のものではない。「ボディ色も含めてこの仕様が欲しい!」という声はきっと少なくないと思うが、それを差し引いても「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」のパッケージアイテムは、ニヤリとしてしまうほど素敵だ。発売は今年の秋頃を予定しているが、新型フェアレディZを手に入れるならゼッタイにおすすめのカスタムと言えそうだ。