東莞に根づく“JDM×中国”の新しい潮流

中国・東莞で開催されたカスタムイベント「ALL IN TUNING(AIT)」は、JDMをベースにしながら中国独自のテイストを取り込んだスタイルが一気に広がっていることを示していた。特に10〜11代目シビックを軸に形成されつつある“ミドルVIP”系カスタムは、若年層を中心に強い支持を獲得していた。

別館には300台超の個人カスタム車が集まり、シビック、マークX、86に加えてシルビアやツアラーVなど日本旧車系も多数。日本製アフターパーツを本物のまま装着する傾向が強く、JDM文化の浸透度がうかがえた。痛車、VERTEXワイドのS15、希少ホイールを履くファミリアなど多彩な車両が並び、香港からのJZX100勢など海外組の参加も目立った。

メイン会場と別館をつなぐ屋外ショーでは、とにかくシビックの存在感が圧倒的。19インチ×エアサスの“スタンス系”仕様が主流で、FC1、FK7、FL系が中心。日本ではあまり見られない“VIPスタイルシビック”の姿が多数見られた。

4WDスポーツや痛車文化も根づいており、カーリンボー大会のような参加型イベントも人気。観客の反応も含め、カスタム文化が若者の娯楽として確立している印象だった。AITは、JDMを基盤にしながら地域独自の進化が加えられていく“アジア的JDM”の今を端的に示すイベントだった。日本発のカルチャーが循環し、新たな形として還流していく。そのダイナミズムを感じさせる内容だった。