拘りの機能パーツで冷却性能の改善と空力を見直す

JUNオートメカニックで長くピット長を務めた近藤秀一さんが率いる、近藤エンジニアリングの主力車種といえばスバルのWRX系だ。

極限のマシンメイクもお手のものだが、デモカーのVABはサーキット専用車ではなく、あくまでもストリートカーであることに拘る。チューニングはオリジナルのパッケージを崩さない範囲で、非日常領域の性能も最大限に引き出すことをコンセプトに掲げている。

エンジンはO/Hを施した上でS208用タービンを採用し、ECUTEKでマネージメントした350ps仕様。ライトなメニューだが、岡山国際サーキットを1分42秒フラットという好タイムを記録する。

その速さを引き出しているのが『匠プロジェクト』と命名されたオリジナルパーツ群だ。各ジャンルのスペシャリストと共同開発する機能重視のアイテムで、近藤さんが全てを吟味し、納得できたモノのみを商品化するのがポリシーだ。

性能や品質はもちろん、ビジュアルや価格を含めて市場のニーズも加味して製作。技術の進歩、ユーザーニーズの拡大によるアップデートや商品追加は今も継続中である。

「WRX系で真っ先に手掛けるのは冷却系です。エンジンルーム内の空気の抜けが悪く、水温が上がりやすい。対策として冷却効率の高いラジエターに交換し、インテークガイドで多くの空気を入れて、エアロボンネットで上手に抜く必要があります。こうすればサーキットの連続周回でも水温を理想と言える85~95℃にキープできますよ」と近藤さん。

空力性能のさらなる向上のため、2024年末に追加されるのがフロントのアンダーパネル。風洞実験を行ない、ボディ下部の乱流を抑え、フロントリップとの相乗効果で排熱とダウンフォースを引き上げている。

さらに、GTウイング装着時の前後の空力バランスにも磨きが掛かり、オリジナルの『極みKIT』によるフットワークチューンと相まって、旋回性能も一段と高まったそうだ。“無駄を省き、描く理想に近づけたい”オーナーの思いに近藤エンジニアリングはきっと応えてくれる。