冷却性能アップの切り札。

スイフトスポーツのチューニングパーツをリリースする一方で、輸入車向けブランド『VIITS(ビーツ)』を立ち上げ、その第一弾としてアバルト595/695をターゲットに据えたHKS。すでに車高調やマフラー、ブーストコントローラー、エアロキットが発売されているが、それらに続くパーツとしてインタークーラーとオイルクーラーの開発が着々と進められている。

「ノーマルでもクルマ全体が高いレベルでまとまっているスイフトスポーツに対して、アバルトは生まれながらのチューニングカーという印象ですね。その性格は、何よりもドライビングの楽しさを優先したイタリア車ならではだと思います」と話すのは営業部の赤塚さんだ。

そんなアバルトのパワーアップを考えた時、HKSは冷却性能の改善が必要だと考えた。まずはインタークーラー。最大の特徴は、コアが左右に振り分けられるノーマルのレイアウトを踏襲していることだ。赤塚さんが説明する。

「すでにアフターで出ているインタークーラーは前置きばかりなんです。これだとラジエターの前を塞ぐことになるので、水温が厳しくなってしまいます。それを避けるため、純正置き換えタイプにしました。確かにコストは上がってしまいますが、拘りを持っているオーナーさんが多いですし、クルマ全体のバランスを考えても、それがベストだと判断しました」。

現状、完成度は60%とのこと。3Dプリンターでレイアウトが決まり、製造上の問題点を洗い出している段階にある。その後、実走テストを重ねた上で市販化される予定だ。

もう一つ、オイルクーラーはノーマルの水冷式を取り払い、空冷式に置き換えられる。「ショートサーキットで連続周回すると、ノーマルは油温が上がり気味なんです。その問題を解消するため、空冷式にコンバートします。また、オイルフィルターが交換しづらい場所にあるので、その移設まで含めたキットにする予定です」。

性能アップは当然、付加価値もプラスされるわけだ。HKS参入以前は海外製パーツの選択肢しかなく、情報にも乏しかったアバルト。それが『VIITS』ブランドを立ち上げ、東京オートサロンでのプロトタイプ発表後、「HKS製品を試してみたい」というユーザーの声が日に日に増えている。

アバルトチューンの世界に風穴を開けたHKS。最終的にはタービンキットのラインアップまで見据えているというから、パワー志向のアバルトオーナーは大いに期待すべし。